生成AIについて最近思ってることを、ちょっとまとめて書いておこうというわけで…。今回は、Photoshop 関連の情報はなし、です。
これまであまりそういうことをしてこなかったのだが、それはAI、とくに生成AIというものはまだまだ激しい変化の過程にあって、今の時点でその将来像を予測するのがたいへん困難だと思うからだ。
今のAIについて思うことが、1年後にまだ成り立つか、分からない。
そもそも私が近年、AIについて注目するきっかけとなったのはIBMの Watson である。
現在の Watson は、 IBM の説明によれば「ビジネスでの活用に特化したAIサービスの製品群」だそうである。
IBMの Watson は、2011年1月、アメリカのテレビの人気クイズ番組『Jeopardy!』で3日間にわたる人間のチャンピオン2人との対決で勝利した。ワトソンが『Jeopardy!』に出場するために読み込んだ書籍は、百科事典など100万冊といわれる。
Watson は自然言語で質問を投げかけると膨大なデータから正しい回答、正確な答えを出す。
この当時 Watson は内部で回答を3つ用意して、それぞれ評価をしてそのなかの1つを選択し回答とする。そのログを内部に残している、という話だったと思う(この部分は聞いた話なので不正確かもしれない)。
Watson はウソをつかない。
今、生成AIがウソつき呼ばわりされているのを見ることがある。私は違うと思う。
生成AIを使って画像を制作する。
「ゴッホが描く、中華料理店で箸を使ってラーメンを食べるパンダ。」とプロンプトに入力してしばらく待つとそれらしい絵が出力される。出力された絵を見て AI がウソをついた、偽物を作ったと思う人は少ないと思う。
生成AIはウソをついたのではなくてそれらしいものを出力したのだ。
生成AIは従来人間がやってきた作業から生み出された作品、成果物を学習して、人間ならこんなモノを作るだろう、と画像や、レポートやその他もろもろを生成する。
生成AIに「明治以降の日本の首相のリストを出身地情報をつけた表にして作って」、と要求すればそれらしい(例えばexcelファイルで)表が出力される。
検索エンジンで日本の首相のリストや出身地の情報がありそうなサイトを探すことはできるが、実際にそこへ行って見てみるとそのサイトにはそうした情報はないかもしれないし、必要な情報が揃ったとしても自分で表にしなければいけない。
生成AIに頼んだ場合はレポートにしてくれる。
しかしやってみるとどうも変だ、きちんと全員がリストアップされていない。何人か欠けている。出身地と出身政党が混在している。
これではかえって手間がかかる、ということも多い。他にも、単位が間違っていたり、決定的な間違いを犯すこともある。
しかし、みんなが使い込んでいくことで改善されるのが生成AIなので、半年もすれば、状況は大きく変わる可能性がある。
生成AIのレポートには、出典がきちんと明記されるものがある。しかし、それでも無断転載や著作権法的に問題のある引用のされ方をしていないか、不安が残る。
さらに同じような要求をした人に対して同じ生成物を提示してないか、も問題である。
プロンプトで指示して、先の例のように「ゴッホが描く、中華料理店で箸を使ってラーメンを食べるパンダ。」と要求した場合、この世界のどこかにいる誰かが同じような要求をして、ほとんど同じ画像を生成AIから受け取っている可能性もある。自分に対して生成されたものがオリジナルと言えるかどうか保証がない。これについては最近、有料のサービスで生成物がオリジナルであることを保証する、他の人に似たようなものを渡さないとしているものがあるようだが、それもどこまで検証できるのか疑問である。現状では生成AIが生成したものが自分だけに提示されたと考えることはできないのではないか…。